回復はゆっくりがいい

子どもの気持ち

我が家の通信制高校生の息子は転学してからもう半年以上。転学して、「しんどいの種」から遠ざかったはずなのに、まだ「すっかり元気!」というわけではないんです。一つずつ、超鈍足で進んでいる感じ。

「期待いっぱいの親としての私」はヤキモキしていますが、もう一人の私は「これがいいペースなんだよ。」って言っています。

なんでそうなの!?

息子が全日制高校から通信制高校への転学を決めた時、私は「これでもう大丈夫!すぐに気分が戻って毎日元気に機嫌よくすごすようになるよ!」と思って、もう何の問題もないって信じ込んでいました。

その思いに反して息子が急に元気になることはなく、「まだ一人で学校に行くのが怖い、送り迎えして欲しい。そうでないと通えない。」と言いました。「どうして?もうこれまでの学校に行きなさいって言ってないでしょ。なんで?」と少し信じられませんでした。

簡単にリセットできないよ。

当時の私からすると、やっと長いトンネルから抜けたのに、またトンネルがやってきた。そんな気持ちでした。親としては納得いかないけれど、息子のこの気持ちは大事にしたいことなんです。

これまで無理をしてきた。無理をすることをがんばってきた。だからツラくて苦しくなった。たくさん自分を傷つけてきた。今はまだその苦しくよどんだ気持ちは心の底に積もったまま。新しい学校は気持ちがラクになりそうだけれども、まだどんな所かわからない。そんな気持ちだったんだろうなと思います。

そんな気持ちなのに環境が変わったからって心は「はい、リセット!」とはいかないですよね。

頑張らないが大事

これまでの心の傷が深く残っているのに、いきなり笑顔になれるとしたら、それは笑顔になろうと頑張っているから。

身体のケガと同じです。例えば足を骨折して、必要な期間ギプスをつけて、治療期間は終わったとしても、すぐに走ることはしませんよね。リハビリでマッサージして少しずつ動かして元に戻していく。そして、「もう大丈夫。」って思えたら少しずつ走ってみる。少し走って安心してやっと全力で走れる。

身体も心もおんなじ。いきなり元気いっぱい、笑顔全開!はそうしようと頑張っているから。無理をして苦しくなったから環境を変えたのに、またがんばってしまったら、また苦しくなるかもしれない。そんなことはしなくていいんですよ。ううん、無理をしないで欲しいです。

だからね、ゆっくりゆっくりでいいんですよ。リハビリをするように。急に走らなくてもいい。ワガママ言ってもいい。グズグズしていてもいい。そうしながらゆっくりと元気になっていこうね。周りにわからなくても、自分すら感じなくても、少しずつ元気は増えているから。

私の失敗談

こんなふうに書いていると、私がスムーズに「無理をしなくていい。」と思えますが、そんなことはありません。実際の私はやらかしています、それも、盛大に。

息子が通信制高校に転学を決めて、「新しい環境で頑張っていきたい!」って思っていた時、私は納得していませんでした。全く。頭ではわかっていても受け容れられない。「今からでもこれまでの学校に戻れないかな。」って思っていたくらいです。「このままどこにも行かないよりまし。」と、しぶしぶのしぶしぶで受け容れていました。

だから心の中はいつもお怒りモード、「これまでの学校から転学させてあげたんだから、この先はいっさい甘えさせない。そのための転学だから。」と常に思っていました。甘えさせない引換え条件として転学をさせたような感じです。(今、読んでいると心が痛いです。)

息子が自分の部屋にいるのをいいことに、私は夫に不満をぶちまけていました、かなり大声で。この声が聞こえていたんです、息子の部屋に。

「お母さんの助けを借りながら、少しずつ前に進んでいこう。」そう思っていた息子の気持ちをこの言葉が打ち砕いてしまったようです。そして、傷を深くしてしまったようです。息子はこの時の気持ちをカウンセラーの先生に伝えて、なんとか気持ちを立て直せたようですが、息子を傷つけた上に、遠回りしました。

私と同じ失敗をして欲しくない。お子さんにさらに悲しい思いをして欲しくない。そんな気持ちで書いてみました。なにかのお役に立つなら嬉しいです。

周りもゆっくりのんびり

「環境が変われば大丈夫!」、「早く元気になって欲しい。」そんな保護者の方の気持ち、わかります。痛いくらいに。それでも、子どもは自分で元気になる力を持っている。歩みはとっても小さいけれど。

その力を信じてあげてくださいね。期待せず、あわてず、ゆっくりゆっくり。きっとそれが心の底から元気になる近道。

我が家の息子もゆっくり元気になっていますよ。料理をしてみたり、ギターを弾いてみたり、本を読んでみたり…。ほんとに小さな一歩の積み重ねですが、ふり返ってみるとずいぶん変わったなぁ、あの頃からは信じられない今になっているなぁ、と感じています。小さくびっくりするくらいに。

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